食道がん
早期発見が難しい食道がん
食道はのどと胃をつなぐ細長い臓器です。食道がんは、食道の粘膜にある細胞が、さまざまな要因によって、がん化することで発生します。
診断や治療技術の進歩により治療成績の向上はみられますが、早期 で病変が小さいうちは、自覚症状がほぼなく、症状が現れたときには進行していることが多いがんのひとつです。内視鏡で発見することが可能で、積極的な検査が重要です。特に飲酒、喫煙歴のある方は要注意です。

食道がんの初期症状はほぼない
食道がんは、早期にはほとんど自覚症状がないため、胃カメラ検査などの際に偶然発見されることが多くなっています。食道がんが進行するにつれて、以下のような症状が現れます。
食道がんの進行とともに現れやすい症状
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食べ物がつかえる感じ
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飲み込みにくい
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体重減少
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咳が出る
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声がかすれる
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胸の違和感・チクチク痛む
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熱いものがしみる
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胸や背中の痛み
NBIを用いた観察
通常内視鏡検査

NBI併用観察

どちらも食道の同じ場所を撮影した画像です。左側が通常の内視鏡検査、右側がNBI併用観察です。
通常内視鏡では視認しにくい病変が、NBIで観察することで、茶色く浮かび上がってみえます(黄色円)。
NBIは食道癌や胃癌、大腸癌の視認性を高めることが証明されており、現在では病変の見逃しを少なくする重要な診断技術となっています。
鎮静剤を用いることで、食道をしっかり観察できる
ノドの奥(赤丸部分)は、鎮静剤を使用しない場合、咽頭反射「オエッ!」のため、しっかりした観察が困難なことが多くなります。そのため、咽頭癌、喉頭癌、食道入口部癌の見逃しにつながります。
鎮静剤には、苦痛を取り除く以外にも、こういった箇所の安定した観察を可能とし、見逃しを少なくできるメリットがあります。

食道がんのリスク要因
食道がんの主な原因として、喫煙や大量のアルコール摂取が挙げられます。これらはいずれか一方でもがんの危険因子となりますが、両方の条件が揃うとリスクがさらに高まります。特に、飲酒に関しては量だけでなく、アルコール度数の高いお酒を好む場合にも危険性が増すとされています。
また、熱い食べ物や飲み物、辛い食べ物、刺激の強い食べ物を頻繁に摂取すると、食道の粘膜が繰り返し傷つけられ、がん化しやすくなると考えられています。さらに、肉や魚の焦げに含まれるニトロソアミンは発がん性があるとされ、食道がんのリスク因子の一つとされています。
食道がんの治療と早期発見の重要性
食道がんは、早期発見できるかどうかで治療方法やその後の生活に大きな違いが生じるがんです。
習慣的に飲酒・喫煙をする方 や、逆流性食道炎の症状が長期間続いている方は、食道がんの発症リスクが高いため、症状がなくても定期的に胃カメラ検査を受けましょう。
●早期の食道がんの場合
内視鏡的食道粘膜下層剥離術(ESD) による切除が可能な場合があります。侵襲の少ない手術ができれば、心身の負担を最小限に抑えられ、入院期間も約1週間で済みます。
●進行食道がんの場合
浸潤や転移のおそれがある場合には、それぞれの状態に合わせて手術・化学療法・放射線などを行います。
治療期間が長くなり、心身への負担も大きくなる 可能性があります。手術の内容によっては、発声や食事に影響が出ることもあります。
