機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシア（Functional Dyspepsia, FD）とは、胃の症状が慢性的に続いているにもかかわらず、胃カメラ検査で病変が確認されない状態を指します。

以下のような症状があるにもかかわらず、胃カメラなどの検査をしても炎症や潰瘍などの器質的異常が見つからないことが特徴です。

機能性ディスペプシアの原因はまだ完全には解明されていませんが、様々な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

胃や十二指腸の運動機能に異常が生じ、胃の内容物が十二指腸へスムーズに送られなくなることが原因です。内容物が十二指腸に届くのが遅すぎたり、逆に早すぎたりすることで、胃のむかつきや痛みなどの症状が現れます。主に暴飲暴食、喫煙、飲酒、不規則な食習慣、そしてストレスなどが要因となります。

胃も知覚過敏を起こすことがあります。知覚過敏を起こした胃はちょっとした刺激にも敏感になり、痛みなどを感じやすい状態になっています。そのため、たとえば少量の食物が入ってきた際に早期飽満感を起こしてしまう、胃酸が分泌された際に胃痛、胃もたれ、吐き気などの症状が現れるようになります。

胃など消化器の機能は自律神経によってコントロールされています。

ストレスや疲労などで自律神経のバランスを失うと機能性ディスペプシアを発症しやすくなると考えられています。

胃酸が過剰に分泌されることで、知覚機能の乱れを誘発し、また過剰な胃液が十二指腸にまで流れこんでしまい、胃痛、胃もたれといった症状が現れやすくなります。

ピロリ菌と機能性ディスペプシアの関連性は明らかになっていませんが、ピロリ菌に感染している場合は、除菌治療を行うことで、機能性ディスペプシアの症状が改善する場合があります。

機能性ディスペプシアの症状は、他の消化器疾患にも共通して見られることが多いため、他の病気である可能性を除外するための検査が必要です。

胃カメラ検査にて、炎症や潰瘍、ポリープ、がんなどの病変がないことを確認したり、超音波検査や血液検査を行い、病変がないことを確認し、最終的に機能性ディスペプシアの診断を行います。

当院の胃カメラ検査は、専門医が鎮静剤を用いて苦しくなく質の高い内視鏡検査を行っております。

胃酸の分泌を抑える薬剤、胃の機能を助ける薬剤、抗不安薬、抗うつ薬などを用いて治療します。また、ピロリ菌感染が陽性の場合は、除菌治療を行います。

ストレス回避や生活習慣、食生活を改善することも大切です。