大腸ポリープ・大腸ポリープ切除
大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の粘膜層(最も浅い層)の一部がイボのように隆起してできたものです。
大腸ポリープは「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に分類されます。一般的に大腸がんの中の9割が良性の腫瘍性ポリープである腺腫や鋸歯状病変(Sessile serrated lesion;SSL)ががん化して発生すると考えられています。大腸がんの予防のためには、大腸カメラ検査を受け、腺腫やSSLを早期に見つけて予防的に切除しておくことが大切です。

ポリープの種類

大腸ポリープは自覚症状がほぼない
大腸ポリープは自覚症状がほとんどありません。
ポリープが大きくなってくると、便潜血検査陽性や血便の症状が出ることがあります。
大腸がんリスクは、40歳を超えたあたりから上昇しはじめます。症状の有無に関わらず、40歳を過ぎたら定期的に大腸カメラ検査を受けて、大腸の状態を詳しく調べておくことをおすすめしています。
日帰り大腸ポリープ切除
当院では、大腸カメラ検査で大腸ポリープが発見された場合、検査中にそのまま日帰り手術によって切除・治療することが可能です。
ポリープの大きさ・形状・表面の色調や微細構造などから切除の必要性を判断し、総件数2万例以上の内視鏡検査を行ってきた日本消化器内視鏡学会 内視鏡専門医・指導医の院長による熟練の技術と高度な内視鏡機器によって、苦痛がなく身体への負担の少ないポリープ切除を行います。
別の日に改めて切除手術のためのスケジュールを作る必要がありませんし、下剤服用や食事制限なども1度ですみます。検査中の日帰り手術ですから、入院も必要ありません。ポリープ切除は侵襲が少ないため、翌日にはほぼ通常の生活を送ることができます。生活やお仕事への影響を最小限に抑えて、治療と予防が可能です。大腸カメラ検査は10~15分程度ですが、切除手術を行っても30分以内に終了することがほとんどです。
※ポリープの数が多い場合や、巨大な場合にはできるだけ早く治療を受けられるよう連携病院をご紹介しています。

大腸ポリープ切除の方法
ポリープの形や性状、大きさ、深さを見極め、安全な方法で大腸ポリープを切除いたします。
ポリペクトミー
スコープの先についたスネアで大腸ポリープを引っ掛けて切除します。高周波電流で焼き切るため、止血する効果があります。ただし、熱による周囲の炎症や穿孔を起こしてしまう可能性があります。

コールドスネアポリペクトミー
スコープの先のスネアでポリープを引っ掛けて切除しますが、通電はせず締め付けて切除します。止血効果がないため、出血しますがこの場合も自然に治癒します。熱による周囲へのダメージがないため、炎症や穿孔を起こすリスクは高くありませんが、大きなポリープの切除はできません。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)
粘膜の下に薬液を注入し、病変を持ち上げ、スネアをかけて高周波電流を流して切り取ります。
茎のない平坦な形の病変に用いられます。
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Under Water EMR(UEMR)
消化管内腔を水で満たした状態で、スネアで絞扼して高周波電流を流して切り取ります。
消化管内腔を水で満たすことによ り腸管の緊張が緩み、浮力で病変(粘膜・粘膜下層)が管腔内に浮き上がり、スネアによって締め付けて切除します。切除する際に筋層を巻き込むリスクが少なく、安全に切除することが可能です。

大腸ポリープ切除の費用
保険適用で受けるポリープ切除の日帰り手術費用は全国一律で決まっています。
1割負担・3割負担などの負担割合により、金額が変わります。
当日の検査結果によって費用が変わる場合があります。
大腸ポリープ切除後の注意点
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鎮静剤を使用した患者様は大腸カメラ検査後は車の運転ができません。
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治療内容に応じて治療後に激しい運動・旅行・飲酒などの制限が生じる場合があります。治療内容に応じて変化しますので適宜ご説明させていただきます。
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内視鏡治療後のリスクとしては出血と穿孔が起こりえます。治療時に電気を通さなかった場合は出血・穿孔のリスクは比較的低いですが、電気を通した場合はリスクが上昇します。術中の出血や穿孔は治療中に対処しますが、術後に一定頻度起こることがあります、術後出血兆候(吐血、黒色便、血便)が起こった際や腹痛が強い際はご連絡ください。可能なものは当院で対応し、状態に応じて入院施設がある病院にご紹介させていただきます。
切除したポリープの病理検査結果について
大腸カメラ検査の際に採取した疑わしい病変や切除したポリープは、病理検査を行います。
病理検査は、病気が疑われる組織の一部や、切除した組織を観察して、どのような病気であったかなどを調べる検査です。大腸ポリープや大腸がんの疑いがある場合は、その組織を顕微鏡で細かく観察して、がん細胞が含まれていないかどうかを検査します。
大腸カメラ検査で採取した組織の病理検査では、
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ポリープの種類
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ポリープが良性か、がんを含む病変か
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がんがあった場合、どの程度の深度まで達しているか、がんの種類とその性質
を確認します。
病理検査の結果や、切除したポリープの数や大きさなどに基づいて、その後の治療方針や経過観察の方法(次回の検査時期)を決定します。
